公園をはじめとする都市緑地の価値は存在価値と利用価値が知られており、私たちの健康とウェルビーイングにこの2つの側面が効果を発揮してくれます。公園は「植物がある」「空間」ということが特性であり、「植物がある」ことで、伝統的にはストレス緩和や園芸療法など植物そのものの効果に着目して利用されてきました。人間が自然との交わりを求める本能的欲求はバイオフィリアと言われ、いま植物の健康効果を期待したバイオフィリック・デザインが大企業を中心にオフィス緑化などで注目を集めています。「空間」という特性からは、安全にいつでも誰でも身体活動が可能な場として、これまでは主にスポーツ、運動や子どもたちの遊びに利用されてきました。また、自然環境は自発性と自己肯定感を高めるともされ、植物に親しめて身体活動も可能である公園をはじめとした都市緑地は、健康増進とウェルビーイングの向上に最適な場なのです。
日常生活を送る場は「まち」そのものです。都市緑地は現在でも実際に健康づくりに活用されていますが、緑がもたらす健康への効果は日本ではいまだにたくさんある機能のひとつに過ぎません。WHOは、都市緑地を量質ともに向上させる施策はすべての人口グループ、特に社会経済的に援助されるべきグループの間で、健康、社会、環境にプラスの結果をもたらす可能性があるとしており、これらすべてを達成できる施策はごくわずかで、特にアクティブなライフスタイル、精神的ウェルビーイング、社会的相互作用への影響が重要な利点として強調されています*。
私たち公園からの健康づくりネットは、公園をはじめとする緑あるパブリックスペースが、市民のウェルビーイング向上に役立つことを伝える活動に取り組んでいます。
*WHO(2017):Urban green space: a brief for action,2022年、WUPジャパンがWHOヨーロッパ事務局の承諾を得てこの日本語訳「都市緑地:実践のためのガイドブック」を公表
自然や緑が健康にとって有益だということはよく知られており、こうした緑の効能のほかにも、気軽に運動を楽しめる安全な場所として、公園は健康づくりへの寄与が期待できます。
世界人口の7割が都市に住む時代、都市公園の機能が再認識されています。市街地にあって緑とにぎわいを提供・創出する公園は、地域の文化的・自然的資源による“都市の顔”としてその地域の個性を表現するだけでなく、その特性は隣接するエリアの経済価値を向上させます。
大気と地中の水分循環は都市のヒートアイランド現象を緩和し、植物は地球温暖化をひきおこす温室効果ガスを抑制します。また複数の公園による緑のネットワークは生物多様性を保全し、良好な都市環境を確保します。
公園緑地は都市環境の改善、地球温暖化への対策、街の資産価値向上に効果が期待できます。また、震災や火災などの災害時、火災の延焼防止や避難場所としての効果を発揮するほか、復興段階においては活動拠点や仮居住、資材仮置などにオープンスペースが活用されます。
公園は、子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の、自然とのふれあい、レクリエーション活動、文化活動等の多様な活動の場を提供します。近年では、公園の整備や維持管理、運営そのものが市民活動の場となる参画・協働も進められています。
出典:都市緑地の健康効果