市長の健康施策

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最近、運動してる?

パークマネジメント淡路宣言2015

都市公園は、人々の健康基盤を守るために欠かせない社会基盤です。公園の量的質的不足は、犯罪発生率の高さや気分の落ちこみなどの都市における病理と関係があるといわれているように※、都市公園は人々の健康と健全な社会において重要な役割を果たします。
近年財政的な課題から都市公園は窮地に陥っている一方、有用な都市インフラとして再生され、都市の価値を上げることに成功している例もみられます。
私たちの前身である「大阪発、公園からの健康づくり」は、国際シンポジウム「パークマネジメントの未来」―魅力ある公園とその経営―(2015.5.13-17 兵庫県立淡路夢舞台国際会議場)の開催に協力しました。この国際シンポジウムでは、公園が人々の健康にとって不可欠であることを再確認し、公園における健康への役割を理解し、展開していくための宣言が採択されました。この「パークマネジメント淡路宣言2015」は、私たち一般社団法人公園からの健康づくりネットの設立の原動力のひとつとなっています。
公園は安全で美しいばかりでなく、都市の環境、人々の健康と健全なコミュニティ形成に貢献します。さらに住宅、労働、教育上の問題、そして暴力・犯罪など、公園は都市が内包するほとんどすべての課題に対応できる緑の施策ツールなのです。
「パークマネジメント淡路宣言2015」はこちらからご覧ください。

※Lichard Louv(2008),Last Child in the Woods,Algonquin Paperbacks/春日井晶子訳,あなたの子どもには自然が足りない,早川書房

健康施策

健康都市連合

健康都市連合(Alliance for Healthy Cities)※1は、「健康都市とは、健康を支える物的および社会的環境を創り、向上させ、そこに住む人々が、相互に支え合いながら生活機能を最大限に生かすことのできるように、地域の資源を常に発達させる都市である」と定義しています。
WHOが進める健康都市プロジェクトは、重要な特色として「高度な政治的関与、部門間の協力、地域社会の参加、要素的な「場(セティング)」における活動の統合、健康都市指標集と地域における行動計画の整備、定期的な監視及び評価、参加型研究及び分析、情報の共有、メディアの参加、地域社会におけるあらゆる団体の意見の取り込み、持続性を確保する仕組み、地域発展や人材開発とのつながり、そして国内及び国際的なネットワーク作り」※2を挙げています。

※1WHO西太平洋地域事務局の呼びかけにより2003年に、都市に住む人の健康を守り、生活の質を向上させるため健康都市に取り組んでいる都市のネットワークを広げ、各都市の経験を生かしながら、国際的な協働を通して健康都市の発展のための知識や技術を開発することを目的として設立。
※2WHO西太平洋地域事務局(2000),健康都市プロジェクト展開のための地域ガイドライン

日本の健康都市の現状

健康都市連合には世界の10か国から178都市44団体が加盟しており、日本からは37都市4団体が加盟しています。
日本の加盟都市の取り組みは、①身体活動・ウォーキング推進(ウォーキング入門教室等)、②生活習慣病予防(健康づくり講座、小児生活習慣病予防対策等)、③栄養・食生活改善(食生活改善推進員活動等)、④健康情報啓発・意識向上(健康フェア等)、⑤ソーシャルキャピタルの醸成(健康づくり推進員の育成等)、⑥介護一次予防(いきいき若返りまつり、地域座談会等)の6分野※で推進されています。
しかしながら、積極的に都市公園と連携した取り組みの実施はなく、今後さらなる推進が不可欠な状況です。

※健康都市連合日本支部ホームページ

健康日本21の現状

健康日本21(第2次)※は、「21世紀の我が国を、すべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするため、壮年期死亡の減少、健康寿命の延伸及び生活の質の向上を実現すること」を目的として推進されています。
これに合わせて基礎的自治体でも「健康21」施策が策定され、健康づくりのための各分野において目標を設定しているところですが、残念ながら予防のための具体的な取り組みまで言及している例はほぼなく、まさに取り組みに適する公園との連携には一言も触れられてない施策が多いのが現状です。

※高齢化の進展や疾病構造の変化にともなう国民の健康の増進の重要性の増大により、健康づくりや疾病予防を積極的に推進するための国民健康づくり運動として、2000年に厚生省事務次官通知等により開始。2003年に健康増進法に基づき「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」が策定され、2012年に本方針が全部改正(いわゆる「健康日本21(第2次)」)。

健康施策に取り組む市長へ

世界は今、日本の動向に関心をもっています。

わが国は世界の先進国のなかで1億2千万人もの人口を抱え、2060年代には高齢者人口の割合が40%に近づくことが予測されています※。この少子高齢化の問題は日本だけでなく世界が今後抱える課題であり、その最先端にある日本の取り組みの動向が、いま世界から注目されています。
健康寿命の延伸は、医療を受ける人々の減少、すなわち医療費の縮減を意味します。年間40兆円を超えたわが国の国民医療費を下げるには、具体的なプログラムと、それをおこなう場として「都市公園」を明記することが重要です。

※国立社会保障・人口問題研究所(2017),日本の将来推計人口(平成29年推計)

運動習慣の確保がもたらすもの

私たちは、誰でも身近に、安全に、快適に利用できる都市公園を活用して、現在30%程度しかない運動習慣のある人※1の割合を、10%向上させることを当面の目標としています。
例えば、人口20万人都市であれば2万人が対象となり、週2回で延べ200万人が運動することになります。一般的な体育館の年間利用者数が4-5万人/館ですので、体育館であれば50館必要になります。
多くの市民アンケートによれば、運動をするなら、場所は「公園や河川敷」との回答が4割を超えています。私たちの実績から、運動習慣を維持するためのプログラム誘致圏は2km圏内ということがわかっています。20万人都市に、500㎡の芝生がある10ヶ所の公園さえあれば、イニシャルコスト5,000万円、年間事業コスト8,500万円に対し、国民医療費の縮減効果は年間20億円※2にのぼります。


※1「運動習慣のある者」とは、1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者で、平成28年度調査では男性で35.1%、女性で27.4%。(厚生労働省平成28年国民健康・栄養調査結果)
※2那珂川町と福岡大学が連携した高齢者健康づくり推進事業では、ニコニコペース運動継続による医療費への影響を調査し、2年間の運動を行った被験者の1年間の総医療費は、運動開始前の1年間の総医療費に比べ10万円の減少が確認。さらに、運動をしなかった被験者は35万円増加しており、運動をすることにより年間45万円の総医療費増加抑制効果が期待できることを確認。

健康施策に取り組む市長へ

地域包括システムにおいて予防を担う具体的な場が示されていないことからもわかるとおり、現在の行政体系には公園と健康のあいだに目に見えないけれども強固な壁が存在します。所管部署の譲り合い精神は、私たちの事業を堂々巡りにさせてしまいます。
私たちの取り組みは都市インフラとしての公園の活用と、市民の健康寿命延伸というふたつの課題を、10倍以上の費用対効果をもって解決する可能性を含みます。
全国にこの取り組みを展開していくためのフロントランナーとして、ぜひ強いリーダーシップが発揮されることを切に望みます。

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